新サポートメンバーを迎え、全国ツアー中のB'z。31年間で21作のオリジナルアルバムをリリースしてきた。曲のごとのランキングは書いたが、アルバム単位でのおすすめランキングは書いていなかったので、ここで紹介する。
5位 Brotherhood / 1999年
【収録曲】
- F・E・A・R
- ギリギリchop (Version 51)
- Brotherhood
- ながい愛
- 夢のような日々
- 銀の翼で翔べ
- その手で触れてごらん
- 流れゆく日々
- SKIN
- イカせておくれ!
- SHINE
収録シングル:ギリギリchop
おすすめ曲:Brotherhood、SHINE、ながい愛
1998年、爆発的なヒットを記録したB’z初のBESTアルバム、B’z THE BEST Pleasure/B’z THE BEST Treasureの翌年にリリースしたアルバム。バンドサウンドにこだわり、ハードロックを超えて、ヘビィロックが主体のアルバムで、B‘z最大のターニングポイントとも言えるアルバム。これまでのミリヒット曲主体のBESTアルバムにリリースによって獲得したファンに迎合せず、純粋にその時自分たちのやりたいことを追及した結果がこのアルバムのように思う。特に、「ながい愛」「SKIN」はその傾向がサウンドに表れており、ライト層を狙ってギターの音圧を下げたり、ホーンを入れたりといったことは一切していないのも潔い。ある音楽評論家はこのアルバムがリリースされたことで、「もう洋楽のHR/HMを聴かなくてもいいんだ」と思った人も多いのではと言っている、それくらい、それまでのB’zのイメージをぶっ壊したアルバム。
こうした中にあって、ファン、仲間との絆を歌った表題曲「Brotherhood」は今もファンに非常に人気が高い。B’zが新たな一歩を踏み出す中、ファンや仲間との関係は大事にしていきたいという思いが歌詞に表れており、リリースから20年経った今でも多くのファンから共感をよんでいる。
4位 MAGIC / 2009年
【収録曲】
- Introduction
- DIVE
- Time Flies
- MY LONELY TOWN
- long time no see
- イチブトゼンブ
- PRAY
- MAGIC
- Mayday!
- TINY DROPS
- だれにも言えねぇ
- 夢の中で逢いましょう
- Freedom Train
収録シングル:イチブトゼンブ、DIVE、MY LONELY TOWN
おすすめ曲:Time Flies、MAGIC、long time no sea
2008年の20周年イヤーの後に、ソロ活動に入らず、リリースされたアルバム。メロディは全般的な歌謡曲をモチーフにしており、耳に馴染みやすい。全体を通して、前半にDIVE、MY LONLEY TOWN、イチブトゼンブといったシングルを固めているにも関わらず、後半にも、MAGIC、誰にも言えねえ、Freedom Trainといった曲があり、全体を通してだれないばかりか、繰り返し聴きたくなる。ファンから人気は決して高いとは言えないが、DIVEの次に来るTime Fliesがアルバムの曲の中でも一番勢いがあり、ハードロックだ。それに続く、MY LONLEY TOWNはリリース当時、「会心の一撃」」と言っており、1~4曲目までが圧巻。ただ、ここで勢いが止まらないのが、このアルバムでノリの良いlong time no sea、大ヒット曲のイチブトゼンブと駆け抜ける。
3位 DINOSAUR /2017年
【収録曲】
- Dinosaur
- CHAMP
- Still Alive
- ハルカ
- それでもやっぱり
- 声明
- Queen Of The Night
- SKYROCKET
- ルーフトップ
- 弱い男
- 愛しき幽霊
- King Of The Street
- Purple Pink Orange
収録シングル:Still Alive、声明
おすすめ曲:Dinosaur、CHAMP、Purple Pink Orange
約4年ぶりにリリースしたアルバム「EPIC DAY /2015年」から2年弱。時間を空けてリリースしたアルバムにも関わらず、10曲入りかつ、オマージュを全面に出した楽曲が表題曲とあって少しがっかりした。
そんな中、このアルバムの制作中、B’z自身が、国内で唯一生き残っているハードロックバンドと認識し、制作を進めたアルバム。ハードロックバンドであるという自負が随所に現れている。その最たる楽曲が表題曲の「Dinosaur」だ。ライブでこの曲を聴くと、「遂にB‘zも洋楽ハードロックそのものになったか」と思うくらいロックしている。そして、この曲に続くCHAMPも他の追随を許さない。Dinosaurをはじめ、自身を揶揄する歌詞が多い稲葉氏だが、このCAHMPではその影はない。タイアップ先のセブンーイレブンをモチーフに書いた歌詞であることもあるが、ここまで圧倒的に他を振り切る歌詞は過去になく、新鮮であるとともに、その分聴く人に勇気を与えてくれる。そのCHAMPに続くのが、非常に完成度の高く、ライブでも盛り上がるStill Aliveだ。言うまでもなく、1~3曲目までがアルバムの核である。だが、それだけではない、Deep Purpleを思わせるリフが印象的な声明や、ジャジーなQueen of the night、抒情的なPurple Pink Orangeとバラエティ豊かな楽曲たちが、1~3曲目までを支える。
2位 THE CIRCLE / 2005年
【収録曲】
- THE CIRCLE
- X
- パルス
- 愛のバクダン
- Fly The Flag
- アクアブルー
- 睡蓮
- Sanctuary
- Fever
- 白い火花
- イカロス
- BLACK AND WHITE
- Brighter Day
収録シングル:愛のバクダン
おすすめ曲:X、Sanctuary、BLACK&WHITE
2004年の1年間のソロ活動を経てリリースされたアルバム。バンドで録音したということで、バンドサウンドが存分に感じられる。TAKはいつもアルバムのコンセプトはない、その都度ごとに曲をつくってまとめるといった趣旨の発言をしているが、このアルバムでは全体を通して、世界感が一貫しており、アルバム全体としてのまとまりを感じる。多くの人に愛されるようなキラーチューンはないものの、パルス、睡蓮、イカロスなど、おすすめに挙げた曲以外でもアルバム全体として映える曲が多い。このアルバムがリリースされた2005年、高校1年生だった私は、このアルバムのもつ世界観が分からず一度聞いたきり、しまい込んでしまった。その後、B’zをきかっけに洋楽ハードロックに出会った後、このアルバムを繰り返し聞いていると良さが分かるようになってきた。このアルバムは時を経てこそ真価を発揮すると思う。
1位 ACTION /2007年
【収録曲】
- 純情ACTION
- 黒い青春
- SUPER LOVE SONG
- 満月よ照らせ
- パーフェクトライフ
- 一心不乱
- FRICTION -LAP 2-
- ONE ON ONE
- 僕には君がいる
- なんという幸せ
- わるいゆめ
- HOMETOWN BOYS' MARCH
- 光芒
- トラベリンメンのテーマ
- オレとオマエの新しい季節
- 永遠の翼
- BUDDY
収録シングル:SUPER LOVE SONG、永遠の翼
おすすめ曲:純情ACTION、パーフェクトライフ、光芒、黒い青春、FRICTION
このアルバムの制作中に過去にない、ひどいスランプに見舞われたという2人。もがき苦しんだことが、曲の雰囲気やサウンド、歌詞にも如実に反映されている楽曲が多い。だが、そうやってもがき苦しんだ分だけ、1つ1つの楽曲の完成度が高く、それまでになかった楽曲構成やメロディラインの曲を生み出し、新鮮さに溢れている。17曲と、ボリュームあるアルバムであるが、収録されている楽曲の1つ1つが捨てがたい。2人もこのアルバムの楽曲に思い入れがあるようで、アルバムツアー後でも、パーフェクトライフや黒い青春、ONE ON ONEを演奏した。
さらに、全般的に暗い雰囲気、サウンドの曲ながらも昨年のHINOTORIツアーのリクエストで、2位に輝いた光芒も控える。このアルバムは、幅広い曲調の曲が収録されていながらも、光芒に象徴されるよいに、サウンドであったり、歌詞であったり、もがき苦しんだ影を見ることができ、そしてその中から2人がこのアルバムのテーマとした「光」を見つけることができる点で、一貫している。現在のところ、このアルバムを越える光を放つアルバムはない。
番外編:NEW LOVE /2019年
【収録曲】
- マイニューラブ
- 兵、走る
- WOLF
- デウス
- マジェスティック
- MR. ARMOUR
- Da La Da Da
- 恋鴉
- Rain & Dream
- 俺よカルマを生きろ
- ゴールデンルーキー
- SICK
- トワニワカク
収録シングル:なし(タイアップ曲:兵、走る、マジェスティック、WOLF、デウス)
おすすめ曲:俺よカルマを生きろ、トワニワカク、マイニューラブ
現在のところ、ACTIONに次ぐ2位と非常に好きなアルバムであるが、リリースから日が浅いことから正当な評価ができないし、5枚より1枚多くアルバムを紹介したいという思いからこのアルバムは番外編とした。アルバムのレビューについては、リリース後に書いたので割愛するが、ライブで聞いてさらに、このアルバムが好きになった。なかなか新しいことに挑戦するのが億劫な年齢に差し掛かっている2人にも関わらず、長く付き合ってきたバンドメンバーを解体して新たなサウンドに挑戦した、その姿勢こそ評価できるし、その姿勢が実際に音として表れているのがこのアルバムだ。