6/26に、稲葉さん(Bz)の12年ぶりとなるNEW ALBUM「只者」が発売されました。遅くなりましたが、本作の感想・レビューを書いていきたいと思います。また、先日参戦しましたライブ(Kアリーナ公演 2日目)についても書いていきたいと思います。
<只者/全曲レビュー>
1.ブラックホール ☆☆☆
ラジオのような曇った歌声が始まるのが特徴的。アウトローのDURANのギターソロも切れ味が鋭いです。歌詞はこのアルバムを象徴するようなリリックで、「これとは違う人生があったのではないか」という自問自答を巡らせています。稲葉さんは今回のアルバムリリース時のインタビューで、ロックスターとなった今でも「自分が平凡である」と感じることが多いといいます。特に、ソロの制作現場となると、自分の才能の足りない部分に打ちひしがれてのだとか。
2.Starchaser ☆☆☆☆
東京シティ競馬(TCK)CM曲。CMの書き下ろし曲で、歌詞も「砂舞い上げて」など、競馬を意識したものになっています。ミディアムテンポながら勢いのある楽曲で、ツアーでは本編最後に歌唱されたました。ライブでのLEDは綺麗でしたね。個人的にはen-zeppでの、Starchaser→Stray heartsのこのアルバムの流れが好きでした。
3.Strayhearts ☆☆☆☆☆
不倫を描いたフジテレビ系ドラマ「あなたがしてくれなくても」の主題歌。歌詞は「夢中でもがいている」など、ドラマの主人公の心の葛藤を綴っています。DURANの妖艶なギターから始まる楽曲で、新たな稲ソロの代表曲と言えると思います。特にサビのメロディーラインがたまらなく良いです。間奏の「オーオーオー」の箇所も良く、ライブで映えました。筆者はこの曲がこのアルバムで一番好きです。
4.我が魂の羅針 ☆☆☆☆
スマートフォン向けシミュレーションRPG「アスタータタリクス」のエンディングテーマ。荘厳なバラード曲で、ライブでは炎の中で歌う演出でした。「ずっと聞いていたい」そんな曲です。ドラムはミスチルの鈴木英哉さんが参加しています。なお、稲葉さんはこのゲームをプレイしたものの、最後までクリアできずこの曲が流れるまでには至らなかったのだとか。
5.VIVA! ☆☆
ミディアムテンポの楽曲。ライブでは花道に立って、観客に歌うよう投げかけられました。が、筆者はなかな好きになれない曲です。パンチが足りない?
6.NOW ☆☆☆☆☆
Reebookとのコラボ曲。こちらもStray heartsと並んで稲ソロの新たな代表曲と言えると思います。蔦谷好位置さんがサウンドプロデュースしたロックチューンで、zeepでは最後、本ツアーでは最初に演奏されました。どちらの位置でもいい感じでしたね。稲葉さんはこの曲のアレンジを蔦谷さんに一任したそうです。それが功を奏し、これまでの稲ソロにはなかった新鮮さがあります。歌詞はウクライナ戦争をモチーフにしたそうです。「ひび割れる街」など、戦争を想起させる表現が繰り返し出てきます。間奏の「時が濁流となる~」のフレーズも溜まりません。そして最後のフレーズ「この声が消え去るまで歌う」で終わるのがかっこよすぎます。サウンドは新鮮ながら、歌唱はこれまでの稲葉さんの魅力がふんだんに味わえる曲となっています。
7.空夢 ☆☆
バラード曲。最初は「イマイチかな」と思っていましたが、聞いていくうちに徐々に良くなってきました。2012年に一度完成した曲だったとのこと。
8.Chateau Blanc ☆☆☆
最初のギターリフが耳に残る小気味よい曲。このアルバムの先行配信シングル「BANTAM」「Stray hearts」に次ぐ、MV制作曲。曲名は「シャトーブラン」でフランス語で「白いお城」の意味です。ミュージックビデオは品川ヒロシさんが担当。品川さんは稲葉さんと旧来の友人で、品川さんは稲葉さんから、「只者の中で一曲選んで撮ってください」というオファーを受けたとのことで、品川さんがこの曲を選びました。MVの内容は、「最高の稲葉浩志さんだからこそ、余計な演出は抑え、カメラやレンズや機材は良い物を選んだ」と品川さんは話しています。
9.シャッター ☆
バラード曲。歌詞は稲葉さんがたまたま通りかかった学校の前で、母親と娘が記念撮影をしているのを見たことをモチーフにしています。
10.BANTAM ☆☆☆☆☆
配信限定シングル。ロックチューン。蔦谷好位置さんがサウンドプロデュースしており、メロディーの良さに加えて先進的なサウンドが耳を包みます。ライブでは序盤に披露されました。配信シングルが出た当時は、「この曲が稲ソロの一番かも」と思うほど、メロディーとサウンドが完成された楽曲となっています。
11.気分はI am All Yours ☆☆☆☆
ミディアムチューン。シングルと次のcocoa以外のアルバム新曲では、筆者がもっとも好きな曲です。ツアーではアンコール1曲目に披露。心地よいメロディと、「完璧な倍音で笑う〜」から始まるドキッとするような歌詞で、何度も聴きたくなる曲です。
12.cocoa ☆☆☆☆☆
『Koshi Inaba LIVE 2010 〜enII〜』の退場曲。発表から約14年越しのリリース。非常に良い曲で当時からリリースが待ち望まれてました。それを分かってか、アルバム曲選曲に当たってスタッフが稲葉さんにこの曲の本作への収録を提案。稲葉さんは、「最初は歌う気にはなれなかったが、歌詞も古くさくなく、今と重なる部分があった」として、アルバムに収録することに。2004年にデモをつくっていたといい、歌詞はイラク戦争あたりがモチーフのようです。こうしたニュースを俯瞰してみる葛藤を描いています。静かなアコースティック曲で、心に刺さる歌詞とメロディが多くのファンの心を掴みました。シングル以外ではこの曲がイチオシです。ライブではなぜか札幌の一日のみ演奏されました。
【総評】
只者 ☆☆☆☆
(稲ソロ好きなアルバム順:Hadou → 只者→ Peace of mind→ Singing bird→ マグマ→志庵)
私は稲ソロ独自の世界観が強いマグマや志庵より、B'zに近いHadouが一番好きです。本作はHadouを超えるところまでは行きませんでしたが、それに次ぐアルバムだと思います。このアルバムの評価はB'zに近いものを求めるのか、稲ソロ独自路線を求めるのかで、評価が分かれると思います。本作は「普通にいい曲」が多いです。ゆえに、パンチを求める人には物足りなさを感じるかもしれません。しかし、それは一部のファンのこと。初めて稲ソロを聴く人にはまず最初にこのアルバムを手にとって欲しいです。
【ツアー感想】
ツアーではアルバム曲を中心に既存曲も多く演奏されました。日替わりが4〜6曲?あり、変化に富んだツアーとしてファンの皆さん(私を含めて)は熱狂しました。私はKアリーナ公演の2日目に行きました。日替わりは聞きたかったWonderland 、念書、Goldren road、我が魂の羅針があり満足でした。GOは今まであまり好きではありませんでしたが、ライブでのエモい感じがたまらず、好きになりました。
それ以外の固定曲では、yellowがピカイチ!配信限定シングルだったので知ってる人は少ないのでは?と思いましたが、曲の良さと勢いで押し切れており、最高でした。鉄板曲の羽、Okayも後半にきちんと組み込まれており、バランスのとれたセトリだったと思います。特にラストに演奏されたOkayでは会場が一体となった感がありました。失礼ながらこんなに暗い歌詞なのに、こんなに一体感を生み出せる曲は稲ソロならではでしょう。筆者は稲ソロではやっぱりOkayが一番好きです。
そして、ぜひお伝えしたいのは、私が行ったKアリーナは音がほんとに良かったです。席は決して良くなかったですが、会場全体に音が響き、「こんなに遠いのに音がいい!」と不思議な体験でした。ぜひここでB'zのライブをやって欲しいです。