日本の優勝で終えたWBCですが、アメリカは「本当に最強メンバーなの?」との声も聞かれました。結論からすると、スタメンはほぼ最強メンバーです。確実に追加したい選手は昨年のMVP、アーロン・ジャッジくらいです。一方、投手陣は最強メンバーには及びません。中継ぎ陣は何人かオールスター級の選手が入っていたものの、先発陣は乏しかったのが実情です。そこで、この記事では、現時点(昨シーズンまでの成績を参考)の理想のスタメンと最強投手陣を考え、成績付でご紹介します。有名なメジャーリーガーを知ると、さらに今後の野球観戦が楽しくなるはずです。
まずは、実際の日本戦に決勝のスタメンをみてましょう。
【決勝のスタメン】
1番右翼 ベッツ(ドジャース)
2番中堅 トラウト(エンゼルス)
3 番一塁 ゴールドシュミット(カージナルス)
4番三塁 アレナード(カージナルス)
5番指名打者 シュワーバー(フィリーズ)
6 番遊撃 ターナー(フィリーズ)
7番捕手 リアルミュート(フィリーズ)
8番左翼 マリンズ(オリオールズ)
9番二塁 アンダーソン(ホワイトソックス)
先発 ケリー(ダイヤモンドバックス)
それでは、ドリームチームのスタメンと投手陣を考えてみました。
※実際のWBCに出場していない選手は「新」、辞退した選手は「辞退」と表記しています。
【理想のスタメン】
WBCで大活躍。準決勝のプエルトリコ戦では逆転満塁弾、決勝でも今永からソロ本塁打を放つちました。2021年首位打者、史上最多タイのサイクル安打3回。WBCでの大活躍はこれらのタイトルに裏打ちされたものです。そして、足も速いので、1番に据えました。
〈昨季と首位打者獲得年の成績〉
2022年:打率298 本塁打21 打点100 ops809
2021年:打率328 本塁打28 打点77 ops911
2番中堅 トラウト(エンゼルス)
MVP3回の強打者にしてキャプテン。近年は怪我がちでフルシーズン活躍した年もないものの、依然として長打力は健在。昨シーズンは出場119試合に留まったものの、リーグ2位の40本の本塁打を記録しました。
〈昨季とMVP年の成績〉
2022年:打率283 本塁打40 打点80 ops999
2019年:打率291 本塁打45 打点72 ops1071
2018年:打率312 本塁打39 打点79 ops1088
2017年:打率306 本塁打33 打点104 ops1049
3番右翼 ジャッジ(新/ヤンキース)
2022年のMVP、本塁打、打点の二冠王。2017年本塁打王。2022年の62本のホームランはアメリカン・リーグ最多本塁打記録。62本以上を打ったボンズ、ソーサ、マグワイヤらは全員薬物使用歴があり、ジャッジが実質のメジャー記録とされています。OPSは1,100超え。投打で活躍した大谷を上回るWARでのMVPですから、物凄い成績です。現在の現役最強打者として3番に置きました。
〈昨季と特筆年の成績〉
2022年:打率311 本塁打62 打点131 ops1111
2017年:打率284 本塁打52 打点111 ops1049
4番一塁 ゴールドシュミット(カージナルス)
2022年MVP、2013年本塁打・打点王。本塁打30本以上7回の強打者。その実績は申し分なく、2016年に32盗塁を記録するなど足も早く、ゴールデングラブ賞4回とファーストの守備も上手いです。
〈昨季と特筆年の成績〉
2022年:打率317 本塁打35 打点115 ops981
2021年:打率298 本塁打31 打点99 ops879
2013年:打率302 本塁打36 打点125 ops952
MVP2度、2015年の本塁打王。右打者全盛のメジャーで希少性のある左打者。現役では最強の左打者だと思います。昨シーズンは怪我で99試合の出場に留まりましたが、例年30本塁打以上を記録しています。足も早く、毎年10盗塁以上を成功させています。
〈昨季とMVP年の成績〉
2022年:打率286 本塁打18 打点65 ops877
2021年:打率309 本塁打35 打点84 ops1044
2015年:打率330 本塁打42 打点99 ops1109
6番三塁 アレナド(カージナルス)
2015と2016年、2年連続本塁打・打点の2冠王。メジャーで最もサードの守備が上手いとされ、10年連続ゴールデングラブ賞を獲得。広い守備範囲と肩の強さを生かした守備で魅了します。
〈昨季とMVP年の成績〉
2022年:打率293 本塁打30 打点103 ops893
2015年:打率287 本塁打42 打点130 ops898
2016年:打率294 本塁打41 打点133 ops932
7番左翼 ベッツ(ドジャース)
2018年MVP・首位打者。2014〜2018年4年連続20盗塁以上。ゴールドグラブ賞も5回と守備も上手いです。「ミート力」「長打力」「走力」「守備力」「肩力」の5つを、高いレベルで兼ね揃えた5ツールプレイヤーです。
〈昨季と特筆年の成績〉
2022年:打率269 本塁打35 打点82 ops873
2018年:打率346 本塁打32 打点80 ops1078
2016年:打率318 本塁打31 打点113 ops897
8番捕手 リアルミュート(フィリーズ)
メジャーNo.1捕手。走攻守、3拍子揃った選手で、オールスターゲーム3回選出、シルバスラッガー賞2回、ゴールドグラブ賞1回。毎年、打率270前後、本塁打20本前後の安定した成績を残しています。
〈昨季と特筆年の成績〉
2022年:打率276 本塁打22 打点84 ops820
2021年:打率263 本塁打17 打点73 ops782
2019年:打率275 本塁打25 打点83 ops820
9番二塁 アンダーソン(ホワイトソックス)
2019年首位打者。高校2年から野球を始めたため、守備は粗削りですが、バスケットボールで培われた身体能力が売りです。昨季は出場79試合でしたが、2019年以降は毎年300以上の打率をマークしています。
〈昨季と特筆年の成績〉
2022年:打率306 本塁打6 打点25 ops734
2021年:打率309 本塁打17 打点61 ops806
2019年:打率335 本塁打18 打点56 ops865
そして、最強投手陣です。
【先発】
右 バーランダー(新/メッツ)
2011・2019・2022年サイヤング賞。球種は平均153キロのフォーシームに、スライダー、カーブ、チェンジアップで、どの変化球も一級品で、40歳となった今も衰え知らずです。
〈昨季とサイヤング賞年の成績〉
2022年:18勝5敗 奪三振185 防御率1.75 WHIP0.83
2019年:21勝5敗 奪三振300 防御率2.58 WHIP0.80
2011年:24勝5敗 奪三振250 防御率2.40 WHIP0.92
右 シャーザー(新/メッツ)
2013・2016・2017年サイヤング賞。球種は平均148〜153キロのフォーシームに、スライダー、カットボール、チェンジアップが軸。特にスライダーの評価が高いです。38歳ですが衰えるところを知りません。
〈昨季とサイヤング賞年の成績〉
2022年:11勝5敗 奪三振173 防御率2.29 WHIP0.91
2017年:16勝6敗 奪三振268 防御率2.53 WHIP0.90
2016年:20勝7敗 奪三振284 防御率2.96 WHIP0.97
2013年:21勝3敗 奪三振240 防御率2.90 WHIP0.97
右 デグロム(新/レンジャース)
2018年最優秀防御率、2019年最多奪三振。球種は平均157〜159キロのフォーシームに、スライダーで、この2球種で投球の8割を占め、三振の山を築きます。怪我多いのが難点ですが、山本由伸も大リーグ最高の投手に上げています。
〈昨季と特筆年の成績〉
2022年:5勝4敗 奪三振102 防御率3.08 WHIP0.75
2019年:11勝8敗 奪三振255 防御率2.43 WHIP0.97
2018年:10勝9敗 奪三振250 防御率1.70 WHIP0.91
左 カーショー(辞退/ドジャース)
2011・2013・2014年サイヤング賞。球種は平均147キロのフォーシームに、切れ味鋭いスライダーで、投球の8割を占めます。今季通算200勝を達成。勝率694厘はメジャー歴代3位で、日本では黒田氏の友人として有名です。WBCは保険の関係で辞退してしまいました。
〈昨季と特筆年の成績〉
2022年:12勝3敗 奪三振137 防御率2.28 WHIP0.94
2019年:21勝3敗 奪三振239 防御率1.77 WHIP0.86
2013年:16勝9敗 奪三振232 防御率1.83 WHIP0.92
2011年:21勝5敗 奪三振248 防御率2.28 WHIP0.98
【第2先発】
右 コール(新/ヤンキース)
2022年最多奪三振、2019年最多奪三振・最優秀防御率、2021年最多勝。球種は平均150キロ台後半のフォーシームに、スライダー、ナックルカープ。ヤンキース移籍初年度の2019年は驚異の奪三振326!最速164キロのフォーシームを軸に三振を積み重ねました。
〈昨季と特筆年の成績〉
2022年:13勝8敗 奪三振257 防御率3.50 WHIP1.02
2021年:16勝8敗 奪三振243 防御率3.23 WHIP1.06
2019年:20勝5敗 奪三振326 防御率2.50 WHIP0.89
右 バーンズ(新/ブルワーズ)
2022年最多奪三振、2021年最優秀防御率、開幕から無四球での58奪三振のMLB記録、MLBタイ記録の10者連続奪三振達成。球種は平均155キロのフォーシームに、カーブ、スライダー。2018年はスライダーの空振り率が対右打者に限れば50%台に達しました。
〈昨季と特筆年の成績〉
2022年:12勝8敗 奪三振243 防御率2.94 WHIP0.97
2021年:11勝5敗 奪三振234 防御率2.43 WHIP0.94
左 ロドン (新/ヤンキース)
2021年にノーヒットノーランを達成した剛腕左腕で、直近2年で頭角を現しました。球種は平均154キロのフォーシームに、カーブ、スライダー。投球の6割がフォーシームで、スピンが効いています。速球を武器とするシャーザーやデクロムを上回る空振り率を記録しています。
〈昨季と特筆年の成績〉
2022年:14勝8敗 奪三振237 防御率2.88 WHIP1.08
2021年:13勝5敗 奪三振185 防御率2.37 WHIP0.96
右 ビーバー(ガーディアンズ)
60試合の短縮シーズンでしたが、2020年はサイヤング賞を受賞。球種は平均149キロのフォーシームに、ナックルカーブ、スライダーが軸。手が遅れて出てくるような投球フォームで球速以上に早く見えます。
〈昨季と特筆年の成績〉
2022年:13勝8敗 奪三振198 防御率2.88 WHIP1.04
2020年:8勝1敗 奪三振122 防御率1.63 WHIP0.87
2019年:15勝8敗 奪三振259 防御率3.28 WHIP1.05
【中継ぎ】
右 ウィリアムス(ブルワーズ)
2020年トレバーホフマン賞、新人王。球種は平均151キロのフォーシームに、チェンジアップ。このチェンジアップが凄く、エアベンダーと評されている魔球です。 エアベンダーの異質な点は回転量で、その回転量を生かして奪三振の山を築きます。
〈昨季と特筆年の成績〉
2022年:26H15セーブ 防御率1.93 WHIP1.01
2021年:23H3セーブ 防御率2.50 WHIP1.19
2020年:9H 防御率0.33 WHIP0.63
左 ヘイダー(新/パドレス)
球種は平均155キロのフォーシームに、スライダー、チェンジアップ。2022年は不調だったものの、貴重な左の中継ぎとして外せないと思い、選出しました。
〈昨季と特筆年の成績〉
2022年:36セーブ 防御率5.22 WHIP1.28
2021年:34セーブ 防御率1.23 WHIP0.84
2019年:6H37セーブ 防御率2.62 WHIP0.81
右 オッタビーノ(メッツ)
MLBを代表するリリーバーで、通算ホールド数は歴代18位(今シーズン前)。球種は平均150キロのフォーシームに、大きく曲がるスライダーで打者を打ち取ります。
〈昨季と特筆年の成績〉
2022年:19H3セーブ 防御率2.06 WHIP0.97
2019年:28H2セーブ 防御率1.90 WHIP1.31
2018年:34H6セーブ 防御率2.43 WHIP0.99
2019年最多ホールド。メジャーを代表するクローザーの一人。球種は平均153キロのフォーシームに、切れ味鋭いスライダーとカーブ。2023年のWBCでは守護神として、3試合に登板。2セーブを記録しました。
〈昨季と特筆年の成績〉
2022年:33セーブ 防御率2.98 WHIP0.89
2021年:1H26セーブ 防御率2.25 WHIP0.97
2019年:31H3セーブ 防御率2.32 WHIP0.97
右 マランソン(新/ダイヤモンドバックス)
2015・2021年セーブ王。球種は平均146キロのカットボール、平均148キロのフォーシーム、決め球のナックルカーブで、打者を翻弄します。2013年以降はホームランの被打率が0.29と非常に低いのが特徴です。
〈昨季と特筆年の成績〉
2022年:1H18セーブ 防御率4.66 WHIP1.50
2021年:39セーブ 防御率2.23 WHIP1.22
2015年:1H51セーブ 防御率2.23 WHIP0.97
右 マクヒュー(新/ブレーブス)
近年、安定した成績を残している右腕。球種は平均147キロのフォーシームに、カットボール、スライダー。特にスライダーは投球の50%を占め、曲がりが大きいです。投球回を上回る三振取り、制球も良いです。そのため、被本塁打が少ないも特徴です。
〈昨季と特筆年の成績〉
2022年:17H 防御率2.60 WHIP0.94
2021年:6H1セーブ 防御率1.55 WHIP0.94
2018年:12セーブ 防御率1.99 WHIP0.91
【抑え】
右 バウワー(新/横浜)
2020年サイヤング賞、最優秀防御率。球種は平均151キロのフォーシームに、カーブ、スライダー、チェンジアップで、奪三振率が高いこと、中3日での登板を主張してることから、抑えでもと思い選出しました。先進的な練習方法を積極的に取り入れるともに、データ分析で一流選手の球種を会得しようとするなど、話題となった奇行とは裏腹な理論派です。過去2年、奇行による出場停止でほとんど投げていませんが、横浜での活躍が楽しみです。
〈昨季と特筆年の成績〉
2021年:8勝5敗 防御率2.60 WHIP1.00
2020年:5勝4敗 防御率1.73 WHIP0.79
2018年:12勝6敗 防御率2.21 WHIP1.09
いかがでしたしょうか?こんな真のドリームチームがみられるWBCがあるといいですね・・・次回、2026年のWBCに期待したいと思います。